メンタルヘルス

転ばぬ先の杖「認知症」を自分事として考える

2023年10月24日

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星の数ほどあるブログの中から、当ブログにお越しくださりありがとうございます。

 

「老化もまた進化」を合い言葉に明るく生きるためのヒントを愛をこめて綴ります。

 

 

「もしも、親や身近な人、あるいは自分自身が認知症になったらどうしよう…」そんな不安を抱いたこと、一度はありますよね。

 

 

私事ですが、実母、義母とも85歳を越えています。二人とも多かれ少なかれ病気はありますが、まだ頭はしっかりとしています。

 

 

ですが、何かのきっかけで認知症になる可能性は極めて大。また、自分自身にもそのリスクはありますし、転ばぬ先の杖として知識はあった方が良い。

 

 

いざその時になったら、そんな心の余裕もなくなるでしょう。

 

 

恐れや不安から、慌てたり焦ったりしても、いいことはないのですから、心の余裕がある時にこそ、ぜひ対策を!

 

 

対策と言っても大げさなことではありません。まず、「知る」ことだと思うんです。

 

 

認知症のことどれだけ知っていますか?

 

 

政府広報オンラインというHP 「知っておきたい認知症の基本」によりますと

 

 

「認知症とは?」さまざまな脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態をいいます。

 

 

以下の症状がおよそ6か月以上継続

 

・注意力や集中力の低下

 

・同時に2つのことがしづらくなる

 

・会話についていけなくなる

 

・ものごとを計画し、順序だてて実行することが苦手になる

 

・家事や仕事の段取りが悪くなる

 

・火の消し忘れ、薬の飲み忘れなどのリスク

 

・幻視、妄想、うつ症状

 

・身だしなみに無頓着

 

・同じ言動や行動を繰り返す

 

年をとれば誰でも、思い出したいことがすぐに思い出せなかったり、新しいことを覚えるのが困難になったりしますが、「認知症」は、このような「加齢によるもの忘れ」とは違います。

 

 

認知症の多くを占めるアルツハイマー型認知症や血管性認知症は、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)との関連があるとされています。

 

 

例えば、バランスの良い食事を心掛けたり、定期的な運動習慣を身に付けたりと、普段からの生活管理が認知症のリスクを下げると考えられています。

 

 

日本では高齢化の進展とともに、認知症の人も増加し、今後も増え続けると予想されています。65歳以上の高齢者では、平成24年度(2012年度)の時点で7人に1人程度とされ、年齢を重ねるほど発症する可能性が高まります。

 

 

なお、認知症の前段階と考えられている軽度認知障害(MCI)の人も加えると4人に1人の割合となります。「MCI」は、日常生活への影響はほとんどなく、認知症とは診断できない状態です。MCIの方がすべて認知症になるわけではありませんが、年間で10%から15%が認知症に移行するとされています。

 

 

また、65歳未満で発症する認知症を「若年性認知症」と呼んでいます。

 

政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」より

 

 

心揺さぶられる出会い

 

「認知症」のことをとても分かりやすく教えてくれるYouTubeチャンネルに出会いました。

 

 

長谷川嘉哉先生のチャンネル「ボケ日和 転ばぬ先の杖」

 

 

認知症専門医・総合内科専門医・脳神経内科医・ファイナンシャルプランナーである先生が豊富な臨床経験から「認知症」「介護」などについてわかりやすく解説されています。迷わず即、チャンネル登録をしました。

 

 

先生のお話は、心の安定剤のようにじんわりと心に沁みわたり、いい意味で心を揺さぶられたからです。「どうして誰も教えてくれないの?」

 

 

 

認知症の進行具合を「春夏秋冬」に例えて、とてもわかりやすく教えてくださいます。

 

 

たとえば、春は「ちょっと変は早期認知症」他愛もないことで怒ってみたり、待てないことなど、ちょっとした違和感が早期の症状かもしれないのです。

 

 

そして、冬は症状が進んだ状態・・・・「認知症というのはお金盗られたと言う病気」なんだそうです。介護者は、突然、そんなことを言われたらショックで心が傷つくことでしょう。ですが、知っていれば「これか!ついにキターーー」と覚悟が決まるかもしれません。

 

 

そういったことを事前に知っているか、知らないかでは、天と地ほどの差があると思いませんか?

 

 

どうして誰も教えてくれないの?と嘆く前に、自分から進んで情報をとりに行く時代です

 

 

机上の空論ではなく、実際に「認知症」「介護」にがっつりと関わっているお医者様のお話を聴くことは参考になりますね。

 

 

国の施策

 

 

現在、国では「認知症施策推進大綱」に基づいて認知症についての様々な取り組みが進められているそうです。

 

 

認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人やその家族の視点を重視しながら「共生」と「予防」を車の両輪とした施策を推進しています。

 

 

「共生」とは…認知症の人が、尊厳と希望を持って認知症とともに生きる、また、認知症があってもなくても同じ社会でともに生きる、という意味です。

 

 

「予防」とは…「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味です。

 

政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」より

 

 

国がらみで、新しい認知症治療薬のことをすこし書きます。2023年 の 7月 アルツハイマー病の新薬 がアメリカで承認されたというニュースがありました。日本の製薬会社も関わっており 同社は 国内での製造販売の承認を 厚労省に申請したということです。

 

 

しかし、この薬は認知症の症状を治すものではなく、進行を止めるものでもなく、進行を遅くするというものです。日本で何年も前から使われている アリセプトという薬もすでにあるのです。

 

 

今回申請が出された薬も同様の効果で、なおかつ この薬には脳内の浮腫や微小出血などの副作用も報告されています。そんな問題のある薬の値段が1人当たり年間390万円になると言います。

 

 

国内に数十万から100万人いるとされるアルツハイマー病の患者さんの多くが服用を求めれば、医療費が膨大になるのは火を見るより明らかです。

 

 

もし、国が承認したからと言って、くれぐれも 都合のいい宣伝に飛びつかないようお願いしたいものです。

 

 

さいごに

 

 

今日、認知症は、だれもがなりうる病気です。家族や身近な人が認知症になることなどを含め、多くの人にとって身近なものとなっています。

 

 

もし、自分の身内がならなくても、地域で誰かが認知症になる時代です。そんな時代を迎えることが分かっていて、知らんぷりはできません。

 

 

国もいろいろな施策をとってくれていますが、それを鵜呑みにして受け身で待つのではなく、ここはひとつ、子供から大人まで「認知症」の知識を持つ意識が重要ではないでしょうか。

 

 

もし、親が、家族が、自分がなったらどうしようという恐れや不安からの行動は良い結果を生みません。

 

身近にいる高齢者は「未来の自分」と考える

 

身近にいる高齢者は、今後の自分の姿を見せてくれていると思うと、すこしショックかもしれませんが、今どう生きようか、前向きに生きるために何をしようか、という思考につながるはずです。

 

 

まずは知ること。ぜひ、自分事として「認知症」について考えてみてはどうでしょう、というご提案でした。

 

 

ここからは「ぶっちゃけトーク」です。わたしは以前、何が何でも認知症にだけはなりたくないと思っていました。ですが、それは先入観や洗脳かもしれません。

 

 

もしもシリーズ、こう考えてみたらどうでしょう。「認知症にならずに長生きをしたらどうなるのか?」

 

 

参考著書:「人はどう 老いるのか 久坂部羊氏 講談社現代新書」 

 

 

長生きをするというのは年を取るということですから、どんどん老化が進み あちこちに不具合が生じます。現実から目を背けずに考えるなら過酷な状況が思い浮かびます。

 

 

「人に迷惑をかけるような人間になってはいけません」 と厳しく教えてきた自分が今、介護で迷惑をかける人間になってしまったというだけで、途轍もなく情けない、許せないと自分を責めて苦しむことになります。

 

 

また、したいこと、しなければならないことがたくさんあるのに身体が言うことを聞いてくれないという悩みも。さまざまな気がかりがあるのに思うようにできないという情けない思い。

 

 

そのうえ、いつも遠慮して世話をかけて申し訳ない、 忙しいのに時間を取らせてすまない、 用事をさせてごめんねと謝ってばかりいる高齢者は少なくないはずです。

 

 

いずれも、頭脳明晰であればこそ、現状はすべて認識され、老いの辛さが一層深く心に突き刺さるというわけです。

 

 

その一方で、頭がはっきりしていて、 そのせいか 死ぬのが怖くて仕方のない方のお話。

 

 

風邪を引けば肺炎を心配し、動悸がすると心不全を疑い、手足がしびれると脳卒中の発作を恐れてあれこれと薬を求めましたが、ある日とうとう脳梗塞で倒れ、脳血管性の認知症が急速に進んでしまいました。

 

 

すると病気の心配を一切しなくなったのです。まるで死という概念が消え去ってしまったかのように、死の恐怖も口にしなくなりました。

 

 

病気と死を恐れていた時には、いつも不機嫌で不安そうだったのが、認知症になった後には悟りを開いたように穏やかな表情になりました。昨日のことも明日のことも 念頭にはなくても、 にこやかに答えるなど会話は成り立つのです。

 

 

いったいなにが言いたいの?といいますと、

 

 

認知症は自然の恵みかもしれません

 

 

いつまでも 明晰だと、老の辛さ・みじめさが如実に意識され 、不快な 過去と不安な未来に苦しめられることになります。

 

 

それに対し認知症になると、本人はいたって気楽で、たった今見たものをきれいさっぱり忘れてしまう、認知症の人が今にしか生きていないと言われる所以です 。

 

 

これなら過去を悔いることも、嫌な記憶にさいなまれることも、まだ起こっていない心配事に頭を悩ませることもありません。

 

 

ただ、本人は良くても、周りの家族は大変です。こんなことになるとは思わなかったという想定外のことが次々起こり、怒りや嘆きでつい感情的になってしまうでしょう。

 

 

そうならないためには、認知症の人が起こすトラブルをできるだけ最悪なものを想定内にして準備をすることが大事だということです。つまり、知ることで事態を無駄に悪化させずに済むのです。

 

 

こういう事実を知っておくことも、転ばぬ先の知恵かもしれないですね。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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